個人事業主から株式会社を設立した理由 編 ボワボワのブルースvol4

一夜明け

「オエェー・・・気持ち悪ぃ・・・」

最悪の朝、超絶二日酔いだった。
昨夜の「飲みにケーション」の後、安いキャバクラに行ったまでは覚えているがその後の事は全く覚えていない。が、今こうして家のベッドに横たわっている・・・恐るべし帰巣本能。

二日酔いでほとんどの事を忘れている。でももちろん・・・

「明日から会社を作ったるわ」

皆の前で豪語したこのセリフはさすがに覚えている。なんだったらアルコールと共にぐるぐると頭の中を呪いのごとしループしている。

私は悩んでいた。

それは、えらそーに啖呵をきってしまったから?できる自信がない?そもそもやりたくない?

では無い。

私自身、怒りのパワースイッチオンすると周りの目もくれずやると決めた事はどうあろうと必ずやるのが性分なのだが、こと「会社経営」「起業」など今まで考えた事も無く、もっと言えば学も無く、10代の頃から現場労働にたずさわり、パソコンも触れない、本も読めない、スマホさえ興味ない・・・
それよりも現場仕事をどう効率よくこなすか、どれだけの物を直せるようになるか、あの娘かわいい・・・とかそんな事しか考えてこなかったのである。
だから会社を始めるにはどうすればよいか、何をすればよいか、全くもって意味不明であり二日酔いも手伝って釈然としない気持ちだった。

企業する理由を考える

先に述べたように私はやると決めた事はやるタイプだが、意味のない事、理由のない事はそもそもやると決めない。やらない。人間である。
今回の「会社を始める」は飲み会での怒りに任せた言動ではあったが、そんな理由では上手く会社経営できるはずもないと言うのはどこかで分かっていた。
とにかく会社をする意味や理由を決めなければと思い、現状の不満やどんな会社で働きたいか、どんな会社にしたいか、胸やけを我慢し横になりながら考えてみた。

まず先に断っておくが私自身当時、補修会社の専属外注の個人事業主であり、その会社の社員でもなんでもない。しかし、アルバイト時代からお世話になっており、ここで修行させてもらったと言う感謝の気持ちから元請け会社の利益(お金も顧客も増やす)を一番に考え、またその会社の汚い作業場も率先して掃除するほどマジメに従事してきた。
当時は「個人事業主だから」「社員だから」とか考えず、その会社の一員と思い働いていた。
だからと言って不満だったり、理不尽だと思う事がなかった訳ではない。
また、下記に述べた事が10年以上前のまだ「ブラック企業」と言う言葉さえなかった時代の事。今の時代、多少は改善されている思うのだが・・・

補修会社のいびつさ

①人ができない特殊な仕事をこなせるのに、それが出来ない作業員と何ら処遇(お金)が変らない。何なら安い。

②人ができない特殊な仕事をこなせる職人には人ができない理不尽な仕事ばかりまわってくる。

③大きい会社であるからか、仕事を振り分ける番頭が補修に関してズブの素人で訳のわからない段取りになっている。その為、作業を始める前に職人本人が現場プロデュースしなければならない。現場作業よりもそちらの面倒が半端ない。

④わけの分からない仕事の責任のほとんどを直接作業する現場の職人が負わなければならない。

⑤仕事を振り分ける番頭が仕事を知らない為、難しい事と簡単な事の違いが分からない。分かろうとしない。

⑥褒めてくれない。お礼すら言われない。

⑦番頭が番頭どころではない。

⑧難しい仕事をこなし現場をおさめ、そのおかげで未来永劫顧客をつかめたとて手柄は上の立場の人間に持っていかれる。

⑨仕事が出来なくても経営陣に口八丁ゴマすりができれば作業員でも上手いこと簡単な仕事にありつけ儲かる。

⑩ゴマすりできない職人はひどい目にあう。

⑪「自分はこの会社の商品であります!」と敬礼したとて、敬礼すればするほどその商品を足蹴にする。

⑫1分でも遅刻するとクレームになる。お腹が痛い。

⑬社員のほとんどが働かない。

⑭少数のめっちゃ働く社員めっちゃかわいそう。

⑮めっちゃ働く社員大体ノイローゼになる。やめて個人事業主になってピンピンしてる。

⑮マジメに文句も言わず一生懸命会社の為に働く人間がマジで損すると思わざる得ない状況。

⑯上記の事全て、経営陣は一切興味がない。

⑰それでも補修会社は儲かり続ける。


「わ、悪口やないか!」と指をさされそうだが(笑)、起業する前、会社を始める理由探しの為にこんな事を二日酔いながら考えていた。

上記で分かるように、補修会社と言うのは番頭と職人の関係性が一番の肝である。

プロフェッショナルな番頭、仕事が分かる番頭がいれば、顧客から無理を言われても職人が仕事をするまでに顧客に説明、注意点を伝えれば、スムーズな段取り、またはその仕事を断る。そうすれば職人は余計な事を考えず、目の前にある仕事だけに集中できるだろう。
もちろん職人も仕事をよく分かったプロフェッショナルでなければならない。
こうなると腕のいいやつだけを集めれば良いと言う事になるのだが、そういうわけでもなく、良い信頼関係を築く為には人間性がかなり重要になるが・・・

また、番頭がプロフェッショナルであるが故に懸念される事もある。
番頭があまりにも仕事を分かりすぎていると、「儲からない」のである。
無茶な依頼にも腰がひけて仕事を断ってしまい受注が伸びない、そして仕事が分かりすぎる為、職人が束縛され息が詰まる。職人自身がしんどくなる・・・

今まで自分は個人事業主で直接お客さんとやり取りする場合は、受注から請求まで自己プロデュース完結できていた。
人を雇う前提の会社にするとそうにはいかない。
プロデュースするのは自分ではなくウチで働いてもらう職人連中。
自分と同じ動きをする訳では無い人をどう扱えば良いのだろう・・・

少し不安がよぎる・・・がすぐ忘れる。

地獄の経営手法・・・

⑯に「上記の事全て、経営陣は一切興味がない。」と記したが、そういった経営体制と言うのは会社にとって実はごく普通の事ではないか?とふと思った。
会社が大きくなればなるほど経営陣がいちいちそんな事を考えていたら前に進めないのである。
末端の現場の色々なケアまで考えているとお金儲けどころではなくなる。
たとえ全員が良くできた人間であろうと皆考え方は違うのでどれかに合わす事はできない。
だから、誰もが分かりやすく簡単なガイドラインを設けて効率よく業務する。
もちろん、そこには色々な軋轢が生まれるのだが合わない人はやめてもらう・・・そもそも株式会社=お金を稼ぐなのだから、いくら「サービスを売る」と言ってもお金を稼げなければ意味がない。
どんなに「すばらしいサービスを世に広める」と言ってても、蓋を開ければ「お金を稼ぐ」が一番に優先されている会社は多いだろう。いやほとんどだろう。

話を戻すが、私の経験上、番頭がズブの素人であろうと、職人が上手かろうが下手であろうが、直接現場に携わる末端の人間がひどい会社だと思おうが、会社はそんな事を無視し続けて効率よくお金を稼ぐ方法をとっているように見える。
補修会社にとっては、仕事を知らない番頭の方が訳もわからず売上を上げている。
仕事を知らない番頭のせいで現場はめちゃくちゃになっても④の為、何とか職人がおさめる。もちろん職人は怒り、そんな訳もわかっていない番頭に文句を言うであろう。

番頭は職人達の憤りのはけ口になる。

そして終わる。
どうせ次の日には別の問題が出てくるのだから・・の繰り返し。
会社は素知らぬ顔でお金儲けし続ける。

見事に破滅的な一石二鳥。
そして補修屋と言うのは仕事の割に微妙にお金が良いので職人も尽きない。
破滅しない。
地獄の経営手法。⑰である。

憶測でしかないが・・・・・恐るべし。

そんな事を考えると、一体何の会社で働いていたのか?何の為にリペア技術を磨いてきたのか?はたまた、他の会社もこんな経営の仕方なのか?世間知らずの私は少し戸惑った。

バカは悩んだら普通の反対をすれば良い。バカだから。

しばらく色々考えていたが考える事をやめた。
そもそも「起業」なんて考えた事なかったし、する気も無かった自分がその事に意味を見出す事などできる訳もない。

じゃあどうするか?

こういった場合簡単な方法がある。
大勢の人とは真逆の行動、反対の考えをすれば良い。そうすると簡単に道がひらける。自分のバカさゆえに考えた方法。

マイノリティに進めばよい。

今までの人生を振り返るとそうやって生きてきた。そのせいで変わり者と思われたり、理解されない事も多々あったが、何もない自分を動かす為には意味付けが必要だった。

それを補修会社に当てはめてみると・・・・
補修会社に勤める補修職人のほとんどが不平不満を言っている場合が多い。またよく仕事ができる人ほどすぐにやめてしまう。せっかくリペアする事は楽しいのだが、会社は職人のそういった気持ちには目もくれずお金儲けに走る。何ともうまい事利用しているようなされているような・・・
私にも当てはまる事だと思った。

そして、

「そうだ!職人が生きがいをもって楽しめる会社、職人ファーストの会社にしよう!」

簡単な考えだが思いついた。

職人側からみると、なぜだか補修会社はネガティブな要素が詰まっている。
それとは反対に、職人が不条理さや理不尽さを感じさせない会社にすれば良いのじゃないか?
自分が感じた会社組織の不満なやり方とは真逆のやり方をすればよいのじゃないか?

そらへんにあるネガティブな会社がガイドラインになるすごく簡単な方法が見つかった。またそう思うと自然と色々なアイデアが溢れだした。

職人ファーストの会社なんて私は見た事も聞いたことも無い。誰もやっていない事にチャレンジする価値があるとその時思った。

◆今現在思うと◆
(極めて安易な考えで、これから待ち受ける様々な問題に気づけず、先にのべた「人を雇う不安」と言うのもこの時忘れていた。この先私にとって「会社経営」とは、ほとんどが自分との闘いになっていくのだと思い知らされるがそれはひとまず置いといて・・・・)

その当時のその瞬間は「起業」する意味ができた達成感と前向きなモチベーションが高まっていくのが何とも心地良く、失敗のイメージすら思いつきもしなかった。

だがそんな心地よさもつかの間、気づくのである。

金もない。人もいない。・・・さぁどうする?

 

つづく

個人事業主から株式会社を設立した理由 編 ボワボワのブルースvol1

個人事業主から株式会社を設立した理由 編 ボワボワのブルースvol2

個人事業主から株式会社を設立した理由 編 ボワボワのブルースvol3

     

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