〜そして本番、紆余曲折〜
本番当日。
晴れ渡った空。
外での仕事が気持ち良く先日までの寒気が嘘の様です。
そして今回の相手がこちら
サイズ的には300×500ほど
そこまで大きくは無いとお思いでしょうが僕には高くてぶ厚い擁壁の様に見えています。
横では解体屋さんが容赦なくお屋敷をぶっ壊していて補修を生業としている身としては何か思う所もあり心が揺さぶられる感はあります。が、やることは同じ。落ち着いてやれば何も難しいことは無いと言い聞かせて挑みます。
こんな状況でやってました
何はともあれまずは型を取れる状態を作らないといけません。
前日の雨で濡れているのでヒートガンでスピーディに乾燥、そして清掃。
からの型枠を作っていきます。
乾かすKC
型枠KC
型枠が動いてしまうとその後の作業に影響してしまうので動かない様にしっかりテープで固定します。
どうしても地面と型枠の間に隙間ができてしまうのでその隙間を埋めるように油粘土を詰め込みます。
それが済んだら塗り残しなく離型剤を重ねていきます。
油粘土KC
離KC
離型剤がしっかり乾いたら少しずつシリコーンを流し込んでいきます。
今回は【型取り用シリコーンゴム 1kgセット】KE-12 型取りシリコン 信越化学工業製 を使いました。
玄関ポーチ前のアプローチ部分が少し傾斜しているため結局6缶も使ってしまいました
天気がよく気温も高い事もあり、2時間ほどで完全に固まりました(もちろん間にガーゼを挟んでいます)
固まったのを確認したら離型剤をふんだんに塗り重ねてバックアップ層であるポリエステル樹脂を流し込みます。
ここで問題が発生します。
いかんせんキロ単位の樹脂を扱う経験が乏しい山本は樹脂の攪拌不足?硬化剤の量?から硬化不良を起こしてしまいました。
硬化していく樹脂が縮み、反り、シリコンから勝手にはがれていきます。
ごめんKC
何度やっても同じ状況になることと、シリコン層自体がそこそこ厚みがあるのでバックアップ層無しでも型崩れしないので問題は無いのでは?という推測から、樹脂バックアップ層の形成は断念しました。。
元々、余裕を見て2日工程で見てくれていた社長。
僕の失態を見越していたかのような社長の見積り。
さすがです。
上手くいけばその日に終わりましたが気持ちが追っ付いて行かないまま初日が終了しました。。。
〜終わり良ければ・・?〜
疲れ果てていたにも関わらずあまり眠れませんでした。
迷惑かけてるの今回だけやないし、うまくいかなかったら補修屋辞めよう。という重いのと、なんだかんだ言っても出来ることはやったしあとはなるようになるやろ!という軽いのが入り混じった何とも言えない気持ちのまま現場に到着。
基材の損傷無く上手く離型出来るのか?
バックアップなしで本当に大丈夫なのか?
そもそも上手く型取り出来ているのか?
口から心臓が
出てきそうな…
んっ??
…デロンと離れてくれました。
何の抵抗も無くデロンと…
しかも結構きれいに…
厚みがあるので結構しっかりしています。
前日からの心配をよそに、基材の破損も無くしっかりとした型も取れて結果的に本来の目的が果たせてしまいました。
予定通りには作業が進みませんでしたが、結果的には上手く型がとれて、お客さんも喜んでくれたのでよかったです。
でもこれはただのラッキーで本来ならばあまり褒められるような結果ではありません。
頭で描いたプロセスを経てゴールする事に意味があると思うのですが、今回は落とし穴に落ちたらたまたまゴールへのつながってる裏路だったみたいな感じでちょっと複雑な気持ちになってしまいました。
僕らの仕事は自分ではまだまだだと思う仕上がりでもお客さんによっては喜んでくれたり、逆にそれくらい当然やろ!と思われたりすることがあります。現場に入る立場や状況、環境などでゴールの場所自体が変わってくる難しい仕事だと思います。
今回の現場はとても寛大なお客さんだったからよかったものの、別のお客さんであれば失敗と言われても仕方のない状況だったのかもしれません。
どんな現場でも思い描いた方法で自信を持ってゴールへ辿り着く事が出来るように日々努力と研究を欠かさず頑張って行こうと思います。